トップ «前の日記(2006-03-09-Thu) 最新 次の日記(2006-03-11-Sat)» 編集

雅歴gareki

2006年
3月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
 ★カレンダーの日付の上にポインタを当てると、その日のコンテンツが表示されます
過去の日記
雅歴内のワード検索ができます

アクセスカウンタ(2004.1.1〜): 今日[] 昨日[] 累計[]
最近のTrack Back

2006-03-10-Fri 奥大井、にわか鉄道マニアの旅2 [長年日記]

_ 大井川鐵道の車窓から——南アルプスあぷとライン

寸又峡温泉9:00発のバスに乗って、大井川鐵道井川線奥泉駅へ。井川線というのは本線よりもミニサイズの山岳鉄道で、別名「南アルプスあぷとライン」。トンネルの開口部も小さく狭く低いこともあり、専用の列車を使う。途中には日本ではここだけというアプト式の区間がある。アプト式については後述。千頭が始発なのだが、寸又峡からのバスとは奥泉で接続ということで途中からの乗車。

切符は硬券、いわゆる「からゆき」切符

奥泉駅に入線する井川線の列車

この列車、ディーゼル機関車DD-20型が編成に1両、千頭側に連結されているのだが、ユニークなのは反対側の先頭車は客車なのに運転室がついていることだ。ここから機関車を遠隔操作して運転するのだという。これによって、いちいち上りと下りで機関車を先頭に付け替える必要がなくなったのだとか。ほほぉ。今日乗る列車は、接阻峡(せっそきょう)温泉止まりの編成と終点・井川行きの編成が併結されているので、機関車は最後尾と中間に1両ずつ。

奥泉を出発した列車は、山肌にしがみつくように、大井川を右手に進む。なんか、まるでスイスかなんかの登山鉄道に乗っているようだ。

石丸謙二郎さんのナレーションとあの音楽が聞こえてきそう

奥泉の次の駅、千頭からだと6つ目のアプトいちしろ駅に到着。ここから次の長島ダム駅までが、アプト式区間。アプト式というのは、急勾配を上がるために普通の線路と鉄の車輪では摩擦が足りないので、レールの間にぎざぎざのレールを敷き、これに歯車の車輪を噛ませて上り下りする形式。ここは、90/1000という、日本一急勾配の線路なのだ。

駅に到着すると、アプト区間専用の電気機関車が最後尾(千頭側)に増結される。ここだけは電化されていて、ディーゼル機関車はお休みなのだ。全線電化すれば楽なようだけれども、ほかの区間のトンネルは高さもぎりぎりで、架線を通すには全線を工事しなおさなければならない。もともとこの区間はもっと下を旧線が通っていたのだが、長島ダム建設に伴い、満水時には線路が水没する可能性があるということで線路を引き上げたことで勾配が急になり、アプト式を採用したのだとアナウンスがあった。だからここから先では古い線路や軌道跡、トンネルなどの遺構を車窓から見ることができる。いわば部分的廃線。

アプト区間用電気機関車ED-90型。一回り大きい

今回は併結の長い編成なので、電気機関車も2両の重連である。

連結作業

台車の奥に歯車車輪がある

連結器下の黒い3条の軌道がアプト用の軌道

左は電気機関車のロゴ。右は井川線のロゴ

アプト電気機関車の重連

長島ダム駅で電気機関車を切り離し、次の平田(ひらんだ)駅は先の静岡国体でカヌー会場となったところとか。ダム湖ならではの静かな湖面が広がる。

左手の斜面が観覧席

次の奥大井湖上駅は、岬状に突き出た対岸の先端に作られた駅。駅の両側の線路はいずれも橋梁という構造で、いかにも陸の孤島という雰囲気。

この駅を過ぎれば、次の停車駅が今回の終着、接阻峡(せっそきょう)温泉。井川線自体はあと3つ先の井川駅まで続いているのだが、そこは10年ほど前にクルマで行ったことがあるし、あまり見所があるというわけではないので(ポイントは駅から遠い)、今回は接阻峡で折り返し。接阻峡温泉10:10到着。

接阻峡温泉駅。いかにも山奥の駅

戻る列車に乗るまで約1時間半。ここは長島ダム建設で水底に沈んだ集落の人たちが移り住んだ新しいコミュニティである。だから、山里にしては家々が新しくてこぎれいなものばかり。古びた家屋がない山村というのは、イメージとずれるものなんだ。

このあとの行程を考えると昼ごはんが遅くなりそうなので、天狗石茶屋という地元婦人部が運営している感じの店で天ぷらそばを食べる。そばはこれしかメニューにない。麺は柔らかいけど、タラの芽、フキノトウ、しいたけなど山の幸の天ぷらと山菜が載ったそばは、とってもやさしい味がした。トッピングは季節でどんどん変わるというので、本当に旬を味わうそばなんだろう。

天ぷらそば600円

郷土資料館

さて、今回の旅も折り返し。接阻峡温泉駅に戻って11:42発の列車に乗って、井川線を千頭まで戻る。今度は機関車1両客車3両の基本編成で併結なし。

細かいことだが誤解のないように言っておくが、上の切符が接阻峡温泉〜奥泉なのは、奥泉から金山までの区間はフリー乗車券を持っているからであって、キセルとかそーゆーちんけな悪事は働いていない。

千頭には12:47到着。

_ 大井川鐵道の車窓から——SL

今回の旅のある意味メインイベントが、蒸気機関車乗車である。いや、正確に言うと機関車には乗らないんだけれども。蒸気機関車が引っ張る列車ね。大井川鐵道といえば、まず真先にSLという人もいるだろう。函館に住んでいた頃は蒸気機関車は珍しくもなく、大沼だの仁山だのにスキーをしに行く時には当たり前のように蒸気機関車が引っ張る普通列車に乗っていた。が、さすがにそれから約40年、SLには乗っていない。

千頭駅に入線するSL

千頭駅で一服する機関車C11 312

15:15発のSLに乗って、今回の旅の締めくくり。客車もレトロなもので、「銀河鉄道999」の鉄郎の気分に浸ることができる。メーテルはいないんだけども。

あの車掌さんやガラスのクレアさんが出てきそうでしょ

のんびりゆったり走るSLの旅。普段は120km/hの京急とか270km/hの新幹線で移動しているだけに、嬉しいくらいののろさである。それにやっぱり「フォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」っていう汽笛の音がノスタルジー。若い人にはこれが新鮮なんだろうけど、ワタクシには懐かしいのであった。

煤くさいのもいい

16:36、定刻より2分遅れで金谷に到着。16:40発の東海道線で静岡、10分の乗り継ぎで静岡17:22発の「こだま」に乗って、慌しい日常に引き戻されていくのであった。

またこよぉっと。時間の流れを変えるのは、必要なんだって実感したから。


Copyright (C)戯雅(giga) 2002-2024 All Rights Reserved.